医療広告規制とアンケートや体験談のウェブ掲載
リスク回避のための具体策
医療広告に関しては、ウェブ掲載の内容に細心の注意が必要です。特に、患者さんの感想や体験談をウェブサイトに掲載する場合、法律に違反しないような適切な方法を選ぶことが重要です。今回は、実際に寄せられたご相談をもとに、医療広告規制に抵触しないウェブ掲載の方法について解説します。
事例の背景
とあるクリニックでは、アンケートや患者の体験談をウェブサイトに掲載したいとのご希望がありました。しかし、厚生労働省が定める医療広告ガイドラインによると、患者の受診を誘引する意図がある内容は、規制対象となる可能性が高いのです。
例えば、以下の文言が広告規制に抵触する可能性があるとされています。
「当院の治療を受けて良くなりました」
「最新の治療法で痛みが軽減しました」
こういった具体的な治療効果に言及する表現は、患者に治療を勧誘する意図があるとみなされるため、ウェブ掲載が禁止されています。医療機関は、広告規制を遵守しつつ、どのように魅力を伝えれば良いのでしょうか?
他院の対応方法
ご相談内容にもある通り、多くのクリニックでは、問題となる内容を削除するか非公開にする方法をとっています。特に、患者の感想や体験談に関しては、治療効果に触れない表現に切り替えるか、アナログ媒体での活用を検討するのが主流です。
例えば、以下のようなアプローチが推奨されています。
- アナログ媒体での展開
患者さんの体験談やアンケート結果をウェブに掲載する代わりに、院内で配布するパンフレットや冊子にまとめて掲示する方法があります。院内掲示物は、既に受診している患者に限定されるため、広告規制の対象外とされます。 - 体験談の内容を限定する
医療広告ガイドラインでは、「治療内容や効果に関係しない体験談」であれば、条件付きで掲載可能とされています。具体例としては、クリニックの雰囲気やスタッフの対応、施設の清潔さに関する内容です。
例:「クリニックの外観が綺麗で安心感がありました」
例:「受付スタッフの対応が丁寧でした」
このように、治療内容に言及しない形での体験談は、ガイドラインに抵触しない範囲で掲載できる可能性があります。
規制に抵触しないための具体策
医療機関のウェブサイトやSNSでの発信は、法律やガイドラインを守りつつクリニックの魅力を伝えることが求められます。下記のような工夫が考えられます。
- Q&A形式:クリニックの設備やスタッフに関する質問と回答を掲載し、治療内容には触れないようにする。
- 院内アンケートの活用:患者さんのアンケートをもとに、体験談や感想を治療に関係ない内容で再構成する。また、これらのアンケートをパンフレットにまとめ、院内掲示することで広告規制を避けつつ、患者の信頼を得る手段とする。
最終的な判断
最終的には、クリニック側での判断となりますが、広告規制に違反するリスクを避けるためには、治療内容や効果に触れる掲載は控え、代替案を活用することが賢明です。たとえ罰則がなかったとしても、リスクを考慮すれば、慎重に進めるべきです。